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環境計量講習を受講して [資格試験]

先日、標題の講習を受講しました。環境計量講習は実務経験1年程度の経験者と同レベルになることを目標として計画されています。わずか4日間(濃度関係)でそのレベルを目指すということですから、必然的に密度の高い講習内容になります。講習の内容に関しては、機器分析の実務を普段行っている方、又は同僚や知人に受講した方がおられる場合は内容を把握できますが、そうでない場合は若干でも講習に不安感を持つと思います。私も最初はそうでした。実際には講習が始まる前は少し憂鬱でしたが、実習が始まるとそんな気持ちは吹っ飛び(というか考えている余裕もなく)、concentrateすることができました。(しなければならなかったのですが・・・)

講習の終了ですが、これまでに受講した作業環境測定士の講習の終了要件とは違って、基本的にレポートを提出・受理されれば終了することができます。(内容等で再提出等を求められる事はあると思いますが…) この点だけは少し気が楽でしたが、最初に配布された講習資料を見ているとやはり気を引き締めて受講する必要があるなあと実感しました。過去には初日だけ参加して諦めて帰ってしまわれた方もいらっしゃったようです。
又、オリエンテーションの中で急用でどうしても講習を途中でキャンセルしなければならない場合は、事情によっては年度内の再講習を考慮して頂けるようです(必ずしも再受講できるとは限らないようですが…)

(産業技術総合研究所について)
講習はつくば市にある産業技術総合研究所内の実習棟で行います。敷地はひとつの街区を構成できる程、広大です。ただサイン表示があまり適切ではないため、私はさくら館を見つけるのに苦労しました。せめて東西南北の方位サイン表示、自分がどこにいるかのマップサインが整備されていれば…と感じました。又、名札がないと不審者と間違われることもあるそうです。劇物等を扱っていることもあり、こうした意味でセキュリティは厳重です。到着したらまずはさくら館・フロントを目指してください。

(宿泊施設について)
私は「さくら館」に宿泊しました。ほとんどの受講生はさくら館に宿泊します。部屋は基本的にホテルと同じ造りで、結構快適に過ごすことができました。約2.5mの幅のカウンタータイプの作り付けのデスクもあるので、そこでレポートを書くことができます。ただシャンプーや歯磨きセット等は備え付けられていないし、タオルは2~3日に一回の交換なので、これらは予備に持参されたほうがよいと感じました。又、インスタントコーヒーやティーパック、夜食のおやつなども持参されたほうが充実すると思います。構内には売店がありますが、お昼の時間や夕方は時間があまりないので、事前に準備しておくと楽です。フロントでもカップラーメンやポテトチップス等を販売しています。それから自転車等を貸してくれるので、構外に出て買い物や食事に出掛けるのもいいです。ただ、入出時にはセキュリティチェックがあるので、名札の使用は必須です。ランドリーはフロアで6台の乾燥機・洗濯機があります。自炊室もありました。ランドリーには洗剤は備え付けられています。汗をかいた衣類はやはりその日のうちに洗濯しておいたほうがいいのですが、洗濯機の使用が夜の10時までと決まっているため、外出したりする場合等は計画的な利用を考えておくといいでしょう。

(服装について)
あまり注意されることはありませんが、基本的には社会人としての基本を求められます。(襟付きのシャツでラフ過ぎない格好で、つまり他人が見て不快に思われないような服装で) 又、実習では白衣or作業服が必要です。(いろいろな薬品を扱うため)

(講師の方について)
皆さん、すごいキャリアの方ばかりです。(当たり前ですが…) 海外で活躍されている方もいらっしゃいます。80歳代の講師の方もいらっしゃいました。又、実習においてはとても親切に教えていただきました。実習を重ねる度に器具の扱い方もうまくなってゆくのが自分でもわかりました。講師もただ教えるのでなく、こういう理由があるからこうしなければならない…という説明でとてもわかりやすかったです。実習でも生き生きとされており、仕事に喜びを持っていることが伝わってきました。

(実習全般について)
基本的には、実習の注意点・分析方法の説明の後に、試料の前処理をして分析対象となる溶液、検量線作成のための溶液を各ステージ分作る事から始まります。それからその溶液を分析機器にかけて定性(定量)し、結果をまとめてレポートとする(考察や感想等を求められます)という流れです。丁寧に間違いなく進めてゆけば、ほぼ時間内に終えることができると思います。


(一日目)
一日目はオリエンテーションから始まり、講義で一日が終わります。不確かさとトレーサビリティの講義、各実習に必要な分析方法の説明等があります。説明されるスピードは速いので、統計処理等に関してはテキスト(「環境分析における不確かさとその求め方」)で事前に予習・あるいは復習しておいたほうが気が楽でしょう。(SOxの実習のためにも)

初日の夕方には懇親会が計画されており、講師や他の受講生と交流を深める機会があります。(任意参加です) 懇親会は名刺交換の場でもあります。各自の自己紹介と記念撮影等がありいろいろな情報交換ができます。基本的には3グループに分かれて実習をしてゆくので、他グループの方と仲良くなっておくといいと思います。勤務先は化学系会社、メーカー、電力会社等いろいろでした。


<二日目以降は3班に分かれて3つの実習を一日ずつ交互に行ってゆきます>

(原子吸光・ICP発光分光分析法)
この実習では、Cd,Znの混合物を「溶媒抽出―フレーム原子吸光」および「ICP-AES分析」で測定します。多元素同時分析、広いダイナミックレンジを考えるとICP-AESの方がよさそうですが、ガスを大量に消費するのでランニングコストが高くなりますし、幅広く分析できる反面、物理干渉や化学干渉の影響も大きくなります。特にフィールドサンプルはトーチを詰まらせるなどの原因になるので、必ずろ過して有機物質等を分解するなどの前処理が必要になります。あらかじめ分析対象が絞り込めるのであれば、原子吸光の方が低コストで比較的短時間で分析出来るため有用です。
検量線を含め、コンピュータで機械のコントロール・分析・出力がソフト上で出来るので、とても便利なシステムであると感心しました。(但し一千万円前後の導入コストが掛かります) この講習は時間以内で終了できました。

(SOXイオンクロマトグラフ)
この講習は計算が多い(バジェット表を計算しながら作ってゆく作業がたいへん)ので、脳のクロック数を上げることが必要です。しっかり予習して、実習のレポート作成時にはエクセルで計算式をあらかじめ組んでバジェット表等を作成すれば、時間内でゆとりを持って実習を終えることができます。遅くなるのは計算時に慌ててしまって計算をミスする、式の内容をよく理解していないために何度も計算しなおす等…だと思います。
3つの実習の中では一番手強いかもしれませんので、それなりに留意してください。分析作業自体はそんなに難しくはないですが、試料調製・SOxガス吸収処理・イオンクロマトグラフ注入等、分担しててきぱきと実験を進めてゆかないとレポートが進みません。(イオンクロマト一回の分析で15分、検量線試料5ステージ×2本+UK試料2本) 昼食時は交替でイオンクロマトを動かしておかないと遅くなります。 この実習を終える頃には、バジェット表を使ってデータの不確かさの内容・検討項目等について語ることができるようになっていると思います。


(ガスクロマトグラフ質量分析法)
この実習ではメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼンの3物質を使用して分析を行いました。ヘッドスペースで試料をマイクロシリンジにとりGCに注入します。試料の注入はオートサンプラーではなく、マイクロシリンジを使って手打ちで注入します。ここでは定性分析と定量分析を行いました。試料を調製・注入後は、あとはコンピューター上で結果が分析されて出力されます。対象物質が何かわからないときはとりあえずGC-MSにかければ、ライブラリー検索による定性やフラグメントイオンの内容から分子構成を推定することができます。使いこなせるようになったら楽しそうな機械でした。
考察があまり思い浮かばず、考察に時間がかかりましたが時間通りに終えることができました。おまけで、りんごジュースやオレンジジュース、シンナー薄め液の成分分析を行いました。


(講習を終了して)
講習を終了して何が変わったのか? 私の場合はすぐに資格が仕事や現場に活かされることはありません。(計量証明事業所ではないので) ですが、環境計量士という国家資格を登録できる要件が満たされた(=試験合格+実務経験1年と同等とみなされる)事で、あらためて一定の責任感を感じています。又、これまで結構お金も掛けましたが、それに見合った価値も得ることができたと思っています。

実習を終了することで教科書には出ていない様々なことを学ぶことが出来ました。また、最低限の分析器具の名称や使い方を覚えることができました。とりわけ「不確かさ」の評価や計量管理の仕方は、他の業務であっても十分活用・応用できる内容だと感じています。

(資格の応用について)
環境計量は、文字通り環境分野の計量に特化したものですが、基本技術は食品分析、医療その他の化学分析と同じです。したがって環境計量士を極めてゆけば他の業界でも通用するスキルが身につきます。そんなことを少し頭の片隅においておけば、いろいろと発展性のある資格だと思います。又、その他のメリットとして、作業環境測定士の受験で科目免除があったり、公共事業の入札においては環境計量士は経審の加点対象になっています。

計量士の役割は計量管理に尽きます。計量証明書に押印することのできる特権がありますが、その数値に責任を持たなくてはなりません。業界内で、計量証明の偽装を行っている事業所もあるといううわさも聞きますが、高度な倫理観を持って(会社や依頼先を説得できるスキルを持つことも重要)業務を行ってゆくことが求められているように感じました。

(環境計量講習のコスト)
私の場合、以下の金額を費やしました。最低限、受講費用・宿泊費・食費(朝食・昼食)をあわせて約10万円必要です。この他に、交通費や夕食、ジュース・お茶等の費用が掛かってきます。私の場合は、約15万円かかりました。でも作業環境測定士の講習と違ってリーズナブルですし、内容も深いなあと感じました。

(最後に)
ほぼ一週間、会社を留守にして、研究施設内で過ごしました。仕事のことをすっかり忘れて実習に打ち込むことができました。社会人になるとOJT以外はなかなか勉強する機会が少ないと思います。まして自己啓発の一環として受講される方は更に少ないと思いますが、受講すればしただけのsomethingを得ることができます。最初はどうなることかと心配でしたが、こんな私でも終了できたのです。

    目標を持って行動すれば、道は自ずと開けてきます。

環境分析における不確かさとその求め方

環境分析における不確かさとその求め方

  • 作者: 高谷 晴生
  • 出版社/メーカー: 日本環境測定分析協会
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本


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コメント 9

aya

難しい資格ですね、 時間も掛かるし、費用もいるし。でも
flutistさんの前向きな姿勢に、好感を持ちました、仕事していたら
中々余裕がなくなって、技術向上するのが億劫になってきます、刺激されました♪
by aya (2008-08-31 11:11) 

flutist

ayaさん有難うございます。
将来こうありたいとか、こうしたいという目標があると、モチベーションの持続ができるように思います。日々の仕事に埋没してしまうと、なかなかそんな気が起きないですが、少しの勇気を奮い立たせて・・・。

by flutist (2008-09-02 18:36) 

echo

社会人になってから、改めて学ぶことの楽しさを実感している気がします。
費用も時間も、捻出するのはなかなか・・・ですが、得るものも大きいですね。
私もやっと試験が終わって、今は結果を待つ身ですが、たとえ合格しても、
その先も学ぶことは多く・・・きっと、エンドレスなのかなぁ、と。
でも、そういうものに巡り合えるって、幸せなことですよね。
flutistさんも充実した学び、頑張ってくださいね。
by echo (2008-09-03 10:49) 

flutist

echoさん こんばんは。
社会人になると、学生時代にもっと勉強しておけばよかった・・・と思う事も多々あります。でも過去には戻れませんから、昨日より今日、今日より明日、明日より明後日・・・というように少しでも進歩出来ればと思っています。

日常生活の中に(たとえ5分の空き時間であっても)勉強する時間を見つけ、それを有効に活用する積み重ねで今まで勉強してきました。「塵も積もれば・・・」という言葉がありますが、数ヶ月、半年、一年単位で見ると成長し力をつけている自分に気付いて驚く事がありました。

by flutist (2008-09-03 19:20) 

shun

プログ拝見させてもらいました。
私は今年試験に合格して、講習ではどのようなことをやるのかなと、ネットで探していたところflutistさんの記事にたどり着きました。
1年前の記事ですし、あまり覚えてないと思いますが、できましたら何時から何時まで作業をするのか、実習内容について、実習や生活に必要なものあったほうがいいもの等を教えていただけないでしょうか。

メッセージの送り方がここからしかわからず、
突然のおねがいですが、よろしくです。
by shun (2009-06-05 14:23) 

flutist

shunさん 有難うございます。
コメント遅れてしまい申し訳ありません。まずは合格おめでとうございます。
実習の記憶については、大分薄らいでいますが・・・。実習に必要なものについては、登録講習を申し込んだ後で、たしか資料が送られてきたような気がします。実習自体は後戻りをするような大きなミスをしなければ、普通に時間内で終えることができるようです。最終日は宿泊しないで帰られる方のために、実習の終了時間の方も講師が配慮してくださっていたような気がします・・・。騒音・振動の方の実習はたいへんだとうわさに聞いていますが、濃度の方はあまり心配なさらなくてもよいと思います。ただ、統計等は事前に少し予習しておいたほうがレポートが早く出来てよいと思います。バジェット表を理解してエクセルで計算表を作成しておくと楽です・・・。(私はSOXイオンクロマトグラフの実習の前日、「環境分析における不確かさとその求め方」の本を予習・復習しながら、エクセルのデータを作成しました) それとレポートの考察で測定の原理について記述した記憶があるので、試験の勉強の時に使用した参考書が1冊あれば万全です。

さくら館には夜食になるようなものも販売していますし、構内には売店もあります。必要なら街に出かけることもできますので持ち物については、関数電卓以外は心配しなくていいと思います。前述したように、ノートパソコン+USBメモリーを持っていったほうがいろいろと便利です。

今でも、もう一度受講できるものなら受講してみたいと思うような充実した講習でした・・・。
by flutist (2009-06-16 10:27) 

umauma

こんにちは。今年、環境計量講習受講予定です。自分も同じく業務あまり関係なく、とても不安です。色々教えて頂けますでしょうか。よろしくお願いします。
by umauma (2010-06-20 22:44) 

flutist

umaumaさん こんにちは
もう受講して2年近くが経っていますので、思い出せるかどうかちょっと自信がないです。
実習は基本的には3人一組のグループで行うので、グループの中に経験者がいるとぜんぜん違います。もしそうでなくても、わからないことがあれば講師の先生にその都度確認しながら確実に進めてゆけば大丈夫だと思います。
Soxの実習のレポートは個人で作成することになるので、バジェット表などは予習しておいたほうがよいと思います。
濃度に限ってですが、あまり心配なさらなくても大丈夫だと思います。
by flutist (2010-06-22 06:23) 

koushuu

講習に関数電卓は使いますか。 普通の四則演算の計算機では足りないでしょうか。バジェット表を理解していないとレポート作成ができないでしょうか。

教えてください。
by koushuu (2016-09-17 16:38) 

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